10年前のこと。

東日本で発生した大地震。

津波が発生した地域に住む知人と連絡が取れたのは数日後のこと。 ご家族も無事で大きな被害は受けなかったようですが、電気やガス、水道は復旧のめども立たず、街は壊滅的な状態と聞き、生活に必要な物資を送り続けたことがありました。

知人宅の隣には老夫婦が住んでるようで、情報を得るために必要なラジオの電池も切れてしまって大変なのよ。と。

毎日の電話の中で不足しているものを聞いてはそれを準備して宅配業者の方に集荷にきていただきましたが、荷物が届いた連絡を受ける会話の中で、ん?と思うことがありました。

それは、私が送った支援物資をすべて自宅の倉庫に仕舞っているということ。

知人は老夫婦宅は夜になっても電気が点かなくて大変と話し、昨夜は送ってもらった支援物資で家族みんなでバーベキューをさせてもらった。など、私の気持ちは全く伝わらなくて、それは経験したこともない災害によるものだったのかも知れません。

カセットコンロを送れば交換用のガスも必要でしょうし、野菜ばかりでは体力ももたないと思ってお肉もそうですし、調味料からお菓子、水や電池など、しばらくの間 私自身の生活が成り立たないほど送り続けていただけにとても複雑な思いをしたことは忘れられない出来事。

どれだけ経っても老夫婦の辛い状況ばかりを話されていたことから、『お隣さんにも分けてあげてくださいね』と。
最初からそう伝えれば良かったものを『してくれるだろう』と思った私がいけなかったんですけれど、そうお話をした直後、ハッとされたのだと思います。

翌日の電話ではこれまで倉庫の中に仕舞っておいた支援物資をご近所の方々に分け始め、それまでの自分の行いが恥ずかしい。そう話されていましたが、心に僅かな余裕もできないほどの経験をされたことから仕方のないことだったのでしょうね。

10年前の出来事を思い出した朝のお話。


ちづる

店名 ちづる
住所 〒899-4332 鹿児島県霧島市国分中央三丁目6-11
電話 0995-50-1317
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定休日 日曜日

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