『おい!ババア!』『ここはババクラかぁ!』
『ぼったくりぃ~!』まだまだあります。
『俺を誰だと思ってやがんだ!』
『てやんでぇ~! べらんめぇ~! 上等だ!』
『俺は最強だ!』など、もう言いたい放題の彼。
数年前にお仕事中に倒れてそのまま他界、、、
威勢の良さとは反対にとても気の小さな彼。
お酒を飲んでいない時は親切でお店の方針を真剣に考えてくれることもありましたが、
お酒が進むに連れて暴言が加速していくんですね。
と言ってもそれは虚勢。
腕っぷしの頼りなさは私たちには分かるのですが、
よそのお客様にはその道の方のように振舞うものですから、そう見えてくるんでしょうね。
ですので、向かうところ敵なし。
それは呆れられて。という意味ですが、本人は意気軒昻!
千鶴をオープンしてしばらく経ったころ。
同業者の方が『うちの一番いいお客さんを紹介するよ!』と言ってお会いしたのが最初の出会い。
それまで通い続けていたお店は居心地が悪くなったのでしょう。
その日を境に連日 お越し下さるのですが、とにかく暴言の雨嵐、、、
今思えば、皆さんよく耐えて下さったな。と思うほど。
ある日、ご夫婦でお越しの奥様に『ねえねえ おばさん』と呼び掛けたことで、
ご夫妻は気を悪くされてお帰りになられたことを機にやんわり出入り禁止をお伝えしました。
複雑な家庭で育ったことなど、お酒を飲んでいない時に身の上話を教えていただいていましたので、
どうにか寄り添うことはできないものだろうか。とみんなで色々考えてみましたが、
お酒を飲まないようにお願いすることなんてできませんしね。
飲んでしまえばもう誰も止められませんし、
仕方なく、出入り禁止をお伝えしたのが数年前のこと。
それからしばらく経っての訃報には大変驚き、言葉も出ませんでしたが、
彼のことは供養の意味でも『あの時の〇ちゃんは酷かったよね』なんて思い出すようにしていますが、
まだ還暦前の彼。
毎日 とても楽しそうにお過ごしいただいていましたので、出入り禁止をお伝えしたことを申し訳なく思い出すのですが、それは私と同じ年齢、誕生日だったこともあるのかも。
『バブルの頃にひと月で3億使った!』はいつもの自慢話。
『若い頃はアフロにして新車のソアラを乗り回していた!』はいつもの自慢話。
それが聞けないと思うと少し寂しさを感じます。
厄介者ではありましたが、当時の千鶴には牽制役を務めて下さったのかも知れません。
供養の意味を込めて。 そんなお話でした。🙏