『心のきれいな方!』
スナックの玄関ドアに張り出されていた求人のチラシに大きく書かれていた言葉。
交通量の多い交差点の角にあるお店でしたので、信号を待っていると、自然に目に入るんですね。
ドアいっぱいに大きな字で書かれていたこともあって、
経営者の方の叫びのようなものとでもいうのでしょうか。
嫌な思いをたくさんされたのでしょう。
あれから何十年という時間が経ちましたが、
ふと、その言葉を思い出すことがあります。
さらに昔に遡りますが、私の母は喫茶店で働いていた時期があります。
工業地帯にある喫茶店でしたので、お客さんがひっきりなしに入ってくる繁盛店で、
ウエイトレスが何人も必要だったようです。
あまりの忙しさに辞めてしまう人も多かったようですが、
母は経営者の奥さんと友達だったこともあって、長く勤めていました。
ある日、きれいなお姉さんが自宅に遊びに来るようになりました。
彼女は他県からやってきて、その喫茶店で働き始めたばかり。
母も他県出身ということのほか、若くして実家を出たということもあって、
彼女を妹のように思ったのかも知れません。
母から彼女の話をよく聞きましたし、彼女も母のことを『お姉さん』と呼び、
毎日のように遊びに来て、私のことも大事にしてくれました。
時間にしてどれくらいだったのかは覚えていませんが、
それでも数か月もなかったと思います。
両親が深刻な顔をして話しているのが耳に入りました。
彼女が新生活を始める際に必要な電化製品一式にかかるローンの保証人をしていたようで、
喫茶店に出勤しなくなったことから、心配して自宅へ行くと、もぬけの殻だったよう、、、
私はなんて酷いこと!と思いましたが、
残債の支払いよりも、彼女の気持ちがとても悲しかったのでしょう。
彼女を悪く言うことのない母の姿からそれを感じました。
あれから何十年の月日が流れましたが、
この二つのことは私にとって印象的な出来事。。。
ですので、『心のきれいな方!』の求人を見たとき、
母と似たようなこと、もっと辛いことがたくさんあったのかな。と。
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ちづるを始めて、ここまでの思いをしたことはありませんが、
残念という思いをすることは何度かありました。
もちろん、お店側の立場だけで考えてはいけませんから、
どちらの立場にも立って考えてみるんですけれどね。
それでも残念というケースがあります。
怒れるのではなく、残念という気持ちになるのは本当に悲しいことで、
怒れて終わった方がうんと良いのは言うまでもないんですけれどね。
その度に心なら寄せないこと。
そう言い聞かせていながら同じ過ちを繰り返してしまう訳ですけれど、
怒りの感情に支配されて心が汚れることはないと思うと、その方がう~んと幸せでいられる。
そう思いますし、大切に思ってもらえなかった私自身に問題があるのだと。
そんなことをぼんやり考えた朝のお話でした。
ちづる
店名 ちづる
住所 〒899-4332 鹿児島県霧島市国分中央三丁目6-11
電話 0995-50-1317
URL https://chiduru.jp/
営業時間 20:00~0:00
定休日 日曜日