ちづるのひとコマ|目に見えるお得より大切にしているもの

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50代は人生の後半に入るひとつの節目であり、
いわば「老いの思春期」ともいえる時期かもしれません。

年齢を重ねるほどに「心身相関」は強く現れるようになります。
心の調子が崩れれば体にも影響が出て、体の不調が続けば心にも影を落とす。

そうした状態は誰にでも起こりうるものです。

だからこそ、高齢世代の入り口である50代から心の調子を整えておくこと、
いわば「うつ未満」の段階での気づきや備えがとても大切なのではないかと感じています。

人は一人で生きていけるようでいて、
実は誰かとの関わりの中で支えられながら生きています。

とくに年齢を重ねるにつれて、心と体の揺らぎを感じることも増えていきますが、
そんなときに、そっと寄り添ってくれる存在がいるだけで、
気持ちは少し軽くなり、前を向く余裕が生まれるものです。

私自身、東日本大震災の年にさまざまな出来事が重なり、
気持ちが落ち込んでしまった時期がありました。

そこから戻ることができたのは、
そばで寄り添ってくれたママの存在があったからです。

精神医療の現場に長く関わってこられた方の言葉に、
「真剣に向き合うことが大切」というものがあります。

とてもシンプルな言葉ですが、人と人との関係において、
これほど本質的なものはないのではないでしょうか。

人は自分に向き合ってくれる相手かどうかを敏感に感じ取っています。
だからこそ、関係は一方通行ではなく、
少しずつ、やり取りの中で育まれていくものだと思います。

先日、「行きたいと思っても体が動かなかった」とお話しくださったお客様がいらっしゃいました。
長年のお仕事を離れ、地元に戻る決断をされたとのことでした。

もし、その前に少しでも気持ちを話せる場所や寄り添う存在があれば、
また違った時間の過ごし方もあったのかもしれません。

身近な存在であるはずの親族であっても、それぞれの生活や距離感の中で、
思うように頼れないことも少なくありません。

もちろん、誰かを簡単に信頼することは難しいものです。
とくに「お店の人」となると、なおさらかもしれません。

ですが、どこかで心を閉ざしたままでは人との関係もまた、深まっていきません。

スナックというと、
飲んで歌って騒ぐ場所というイメージを持たれることもありますが、
それだけではない時間の過ごし方もあるのではないでしょうか。

ストレスの解消にもさまざまな形があります。
にぎやかに発散することが合う時もあれば、静かに過ごす時間の方が必要な時もあります。

年齢やその時の心の状態によって、求めるものは変わっていくものです。

だからこそ、無理のない形で自分に合った時間を過ごせる場所や、
安心して話せる相手がいることはとても大切なことだと思います。

無理に何かを解決しなくてもいい。
ただ同じ時間を過ごし、そばにいてくれる人がいることで、
人は少しずつ整っていくものではないでしょうか。

今こうして日々を穏やかに過ごせているのも、
変わらず寄り添ってくれる存在があるからです。

その存在の価値は関わったことのある方にはきっと伝わるものだと思います。

私たちもちづるという場所で誰かにとって、無理をせずにいられる時間や、
安心して過ごせるひとときを大切にしながら、
そっと寄り添える“伴走者”のような存在でありたいと考えています。

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