私たちは、何を売ってきたんだろう。― ちづる11年目の終わりに

ちづるはスナックですから、
お酒があって、当然カラオケはありますが、
色気だけは全くありませんし、お感じいただくことも出来ないと思います。😅

そんな私たちですが、11年もの間、お店を続けることができた訳ですが、
私たちは何を売ってきたんだろう…

そんなことを最近、考えるようになりました。

私たちが大切にしてきたものは、

「会話と気遣い。」

それと、その先にあるもので、
今日はそんなお話をさせていただこうと思います。

これまで、私たち自身、いろいろなお店を利用してきました。

お店で商品を買って、その代金を支払う訳ですが、
何度も通うようになれば、顔を覚えていただいて、
「いつもありがとうございます。」と声をかけていただいたり、
販促用の品をいただいたり、サービスをしていただくこともありました。

飲食店であれば、一品サービスしていただくこともあったりしますが、
私たちもお店をしていますから、そういう気遣いはよく分かりますし、
こういった気遣いは嬉しいものですよね。

ちづるはどうなんだろうと、11年間を振り返ってみると、
少し違うところもあるんですね。

スナックということもありますけれど、
私たちは、お客様とよくお話をさせていただくようにしています。

当たり前といえば当たり前のことなのですが、
お客様によく聞くことは「喋れない店ばっかりだよ。」というもので、
そんな言葉を聞くと、物足りなさを感じられているんでしょう…

ただ、その時間を楽しく過ごして終わり。

というのは、お帰りの際に寂寥感のようなものを感じられて、
そんなことを教えて下さっているのかも…

何度もお会いして、いろいろな話を聞いていると、
少しずつその人のことを知っていきます。

この前、こんなことを言っていたな。あれから、どうなったかな。
今日はいつもより元気がないな。

そうした小さな変化が、自然と気になるようになって、
次にお会いしたとき、「この前のあれ、どうなりました?」とお聞きすることもよくあります。

お客様は、お酒を召し上がられていますから、
話したことさえ忘れている方もいらっしゃいますが、
私たちは、小さなことでも忘れないようにしています。

お客様との会話は、とても大切なものですが、
その場だけ楽しく過ごすためのものではないと考えています。

ちづるを始めた頃は、お客様からお酒を勧められて、
一緒にいただくこともありました。

夜の世界を知らなかった私たちは、そういうものだと思っていたからなのですが、
そうした毎日を過ごしているうち、強い違和感を感じるようになってきたんですね。

仕事をしながら、お酒を飲むということ……

考えてみれば、ほかの仕事ではあまりないことですものね。
お昼間の仕事であれば、お仕事中にお酒を飲むなんて、まず考えられない訳ですが、

スナックだから。という理由から、
お酒を飲みながら仕事をするって、どうなんだろうって。
だんだん、受け入れにくくなってきました。

お酒を飲めば、明るくなって、楽しくなりますが、
少なからず判断力も鈍りますし、お客様のお話を聞くこともそうですし、
お客様の様子を見ることも、出来なくなってしまうんですね。

それができない私たちはプロ失格!ということなのかもしれませんが、
私たちにとってスナックのお仕事は、遊びや遊びの延長ではなく、
大切なお仕事ですから、仕事をしている私たちまで飲む必要はないよね。

ママと話し合って、
お勧めいただいてもお酒を飲むことをやめることにしました。

「酒も飲めないなんてダメな店だな。」と言われたこともありましたが、
これは11年間という時間の中でお一人だけ。

多くのお客様にはとても好意的に受け止めていただくことができました。

この経験から、ちょいカラサロンでも、スタッフによる飲酒は厳しく制限をするようにしています。
また、お客様にも飲酒について、お控えいただけるようご協力をいただくようにしています。

何度もお客様とお会いして、
お話を重ねていくことで、お客様のことを知っていく。

営業時間外やお店がお休みの日など、
お客様とどのような会話をしたのか。どうすれば喜んでいただけるのか。
ということをママと二人でじっくり話し合うようにしています。

お客様の顔を思い浮かべて、
「これ、喜んでくれるかもね。」ということをいくつも拾い出しては擦り合わせて、
喜んで下さるかも。ということは、翌週から実行することにしています。

ただ、

会社を経営されているから。とか、肩書のある方だから。
たくさんお金を使ってくださるから。

こうしたことを基準として、決めることはせず、
お客様のお気持ちが、こちらに伝わってきた方に向けて、
ママと色々話し合うようにしています。

月に一度くらいだったちづるへの来店を、毎週にしてくださった方がいらっしゃいますが、
毎週、お越しいただけるようになったことで、売上は増えることになりますから、
商売をしている私たちにとって、それはとてもありがたいことなのですが、

お客様の様子を見ていると、売上とは別に、
「ああ、応援してくださっているんだな。」と、感じることがあって、
そのお気持ちが嬉しいのです。

また、毎日のように、ママが作るお惣菜を買ってくださる方もいらっしゃいます。

お弁当を買うことだってできるでしょうし、外食をされても良いと思うのですが、
それでも、時間を見つけて、ちづるのお惣菜を買いに来てくださるんですね。

お惣菜を受け取りに来られる際、
昼のちょいカラサロンを利用されているお客様へ、アイスクリームやお菓子などを差し入れてくださることもあって、
ちょいカラサロンを利用されるわけでもなければ、ご自身で召し上がられる訳でもないのに、
「みなさんでどうぞ。」と、持って来てくださる……

私たち二人だけではなく、私たちがやっていることもそうですし、
そこに来られるお客様のことまで考えてくださっているんだな。って、
感謝を超えた気持ちになるのです。

これは、本当にありがたいことで、そんな気持ちをいただくと、
何かお返しを。と気持ちが動く訳ですが、それを、「上客へのサービス。」と言われれば、
形だけを見ると、そう見えるのかもしれませんし、

商売をしている以上、「それも営業でしょう。」と言われてしまえば、
まったく違うとも言えないのかもしれませんが、こうした判断は私たちの心の中のことですものね。

「これをしたら、また来てくれるかな。」
「これをしたら、もっとお金を使ってくれるかな。」という顔というか、
空気のようなものだと思うのですが、そんなことを感じるようなら、
私たちがそうだったように、みんな離れていってしまうと思うのです。

なので、
私たちのサービス?といいますか、
お客様に向けて何か始める場合、「何をしたら喜んでくれるかな。」ということが出発点になっているか、いないかを大切にしていて、
こうした気持ちが、私たちの中に残っている間は、お店を続ける価値があると判断しています。

私たちがちづるで11年間やってきたことは、
形を変えながら、ちょいカラサロンでも同様にしてきました。

夜と昼では、料金も違いますし、利用される方も違いますが、
私たちの基本的な考え方は同じです。

何をしたら喜んで下さるかな。
私たちにお手伝いできることは、何かないかな。というものだけなのですが、

ちょいカラサロンにも、気持ちの伝わる方はいらっしゃって、
鹿児島市から電車に乗って来てくださる方がいらっしゃいます。

鹿児島市には、ランチまで付いて1,000円で楽しめるカラオケ喫茶があるそうです。

お客様で賑わっていて、そのお店をお友達から勧められるそうですが、
「私はちづるがいいの。」と言って、電車に乗ってわざわざ来てくださいます。

姶良市から電車で来られて、私たち二人にお土産まで渡してくださって、
「頑張ってね。」「続けてね。」と声をかけてくださる方もいらっしゃいます。

もっと安いところもあると思いますし、
いろいろなサービスがあるところもご存じのはず。

それでも、
「私はちづるがいいの。」と言ってくださるというのは、
本当にありがたいことだと思うのです。

ちょいカラサロンは、霧島の中では後発のお店ですが、
お客様が少しずつ増えて来た理由を考えることがあります。

使える経費にはかなり限りがありますので、
豪華なランチをご用意させていただくことなんてできないのですが、

それでもちょいカラサロンをお選び下さるお客様がいらっしゃることは、
ちづると同じ考え方で続けているからではないかと思うのです。

夜でも昼でも、料金や形が違っても、
私たちが大切にしているところは変わっていなくて、
その日、その時間だけを、ご一緒させていただいて終わり。ではなく、
その後もお客様を思うとでもいうのでしょうか……

ちづるで11年間やってきたことが、
ちょいカラサロンでも、少しずつ伝わりはじめてきたことを嬉しく感じています。

振り返ってみれば、
ちづるでも、ちょいカラサロンでも、
やってきたことは、特別なことではありません。

話をして、その人のことを知って、
前に話してくださったことを覚えていて、ときどき気にかける。

「静かにして!」なんて決して言わない。
当たり前のことなんですけれどね。

お客様から何か気持ちをいただいたら、
「今度は私たちに何かできないかな。」と思う。

11年間、私たちなりに丁寧に繰り返してきただけのことなのですが、
気持ちを気持ちで受け取って返してくださる方との出会いに心から感謝しています。

こういうことを、これまでブログに具体的に書いたことはありません。

書く必要はないと思っていたからで、
今回の記事も誰かに知ってもらうためにしていることでもありませんし、
宣伝するようなことでもないと考えていて、お客様と私たちの間だけにあれば、いいことだと考えています。

こうした時代ですからね。
「たくさん通えば何かしてもらえる。」
「これだけ使えば特別扱いしてもらえる。」

上手に言えませんが、そうした人の気持ちを煽るというか、
刺激するとでもいうのでしょうか。

私たちは「人と人とのこと」ですから、
そんなものではいけないと思うのです。

ちづるは、もうすぐ11年を終えますが、
ここまで来られたことを思うと、今は、感謝の気持ちでいっぱいです。

ご利用くださった皆さまがいなければ、11年も続けることはできませんでした。
本当に、ありがとうございます。

でも、景気がどうなっていくのかも分かりませんし、
私たち二人も、11年前と同じ年齢ではありませんものね…

これから先も、今までと同じように続けていけるのだろうか。
そんなことばかり考えてしまいます。

新しい年を迎えるのですから、「12年目も頑張ります!」なんて、
元気よく書ければよいのですが、そんなに格好よくありませんしね。

とても、とても緊張しています。

たぶん、
12年目が始まってしまえば、また、いつもの毎日になるんでしょうね。

お店を開けて、お客様と話をして、
笑ったり、歌ったり。

「あの人、この前こんなこと言ってたよね。」と、またママと話したり。
そうやって、いつもの一日が始まるのだと思います。

11年目が終わって、12年目が始まる。
その区切りがつくまでの今は、どうしても、心が落ち着きません。

そんな今だからこそ、私たちは何を大切にして
お客様とお付き合いしてきたのか。

一度だけ、
書いておこうと思いました。

本当にいろいろな形で、お客様に支えていただきました。
言葉だけではなく、それぞれの形で私たちを支えてくださった方。

これから先のことは分からないのですが、
そういう方たちの顔を思い浮かべると、もう少し、やってみようかな。
そんな気持ちにもなります。

無理はできませんし、
私たち二人にできることにも、限りがあります。

それでも、
私たちを大切にしてくださる方を、私たちも精一杯大切にしたい。

いただいた心に、心で返す。

11年間、
本当にありがとうございました。

華やかなクラブをイメージした画像

こうした世界は目指していません。というか、
私たちは選ばないと思います。

次回は8年後…

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