逃げ出したかった、ということでもなかったと思うんです。
行き詰まっていた、というのとも少し違う。
毎日、同じようなことを繰り返している中で、
ちょっと違う世界を覗いてみたくなったというか、
私のことを誰も知らないところへ行ってみたい…。
霧島市に来るうんと前のことですけれど、
そんなことを思っていた時期がありました。
でも、それまでそんなことをしたこともありませんし、
いつも誰かのいる中で過ごしてきた私に、できるはずもなくて。
かといって、ずっとそんな自分のままでいるのも嫌で…。
今思えば、とても贅沢な悩みだったのかもしれません。
何かに困っていたというより、
変わらない毎日に、ほんの少し変化が欲しかっただけだったのかも…
雑誌やテレビにも、よく出ていましたが、
そんな頃、「お一人様」や「一人旅」そんな言葉に、ちょっと憧れていました。
知らない街へ一人で出かけて、気になったお店にふらっと入って、
そこで人と出会ったり、話をしたり…
そんな世界を勝手に想像していたんだと思います。
ママには行き先だけを伝えて、
一人で出かけさせてもらったことが何度かあります。
なんですが…
楽しかったのは、最初だけ。
夕方になって、「今日はどこで食べようかな。」
なんて、ワクワクしながら街を歩いて、いいなと思った居酒屋さんに入ってみる。
ここまでは良かったんです。
当たり前なのですが、
席に座ってみると、話し相手がいないんですよね。
お料理やお酒をゆっくり味わうなんてこともできなくて、
ただ黙々と食べて、飲むだけ…
食事を終えたあとの余韻なんて、全く楽しむこともできなくて、
早々にお会計を済ませて、逃げるように外へ出たことを今でも覚えています。
「テーブル席だったからいけなかったのかな。」
そう思って、お腹も空いていないのに、もう一軒。
今度は勇気を出してカウンター席に座ってみました。
でも、カウンターの中の方はお仕事で忙しそうにされていますしね。
こちらから話しかけたとしても、ずっと相手をしていただけるわけではありませんものね。
それに、あまり話しかけても迷惑でしょうし…。
お店の中は賑やかなのに、私はポツンと一人。
スマホを眺めているのも、なんだか虚しくなってしまって、
そこも早々に退散しました。
雑誌やテレビで見ていたような世界には、なかなか出会えませんでした。
もちろん、私の過ごし方にも問題があったんでしょうけれど、
考えてみれば、居酒屋さんはお料理やお酒を楽しむところ。
私が欲しかったのは、
お料理だけではなくて、話し相手だったんだ。と気付いて、
「スナックに行ってみよう。」と思いました。
スナックなら、カウンターがありますし、
ママさんや女性ともお話ができますものね。
勇気を出してお店に入ってみたのですが、
今度はその賑やかさの中に、私は埋もれてしまって…
隣にいた男性が話しかけてくださって、
それは、ありがたいのですが、お互い手探りですから、なかなか会話が続きませんし、
ギラギラ感もそうですし、テンションの高さも気になったのですが、
妙な間ができるのが嫌で、ついつい私の方が相手に合わせて話してしまうんですね…
男性はとても楽しそうにされているのですが、
「あれ? 私、お客さんなのに接客しているみたい…。」って、
そんな気持ちになってしまって。
思ったことをそのまま言えばいいんでしょうけれど、
「良い子ちゃん」で生きてきたところもありますし、
せっかく楽しそうにされている方に、水を差すようなこともしたくないですしね。
そんな私の性格にも問題があるとは思うのですが、
「こんな私に合うお店って、ないのかな…」
そう思うようになり、
いろいろなスナックへ行ってみて、少しずつ分かってきたのが、
私には、お客さんでいっぱいのお店は合わない。ということでした。
もちろん、賑わっていなければ良いということでもないんですよね。
ママさんがとても無口だったり、
「歌ってね。」とデンモクを渡されたあとは、常連さんとの話に戻ってしまったり。
反対にママさんがお話好きで、
こちらがずっと聞き役になったこともありましたし、
なんだか売上のことばかり気にされているように感じたお店もありました。
お客さんが誰もいないお店では、
私の周りを女性スタッフが囲んで、女子会のような雰囲気になったものの、
気がつけば、かなり高いお会計になっていたこともありました…
もちろん、
たまたま私がそういうお店に当たっただけなのかもしれませんし、
女性一人だったことも関係していたのかもしれません。
でも、いろいろ経験したあとでも、
一人でスナックへ行くことって、やっぱり不安なんですよね。
ちづるのお客様からも、ときどき似たようなお話を聞きます。
中には、「びっくりするくらい相手にしてもらえなかった。」
なんて経験をされた方もいらっしゃいました。
そう考えると、
「一人飲み」って、誰にでも簡単にできることではないのかもしれません。
特に、私のような人には…。
かといって、お友達と一緒なら全部解決するかというと、
それもまた違うんですよね。
年齢も違いますし、性別も違いますしね。
経験も、環境も、価値観も違えば、その日、お店へ来た理由だって違いますものね。
「みんなでワイワイ楽しみましょう。」というのも、実は簡単なことではないのかもしれません。
一人でいたいわけでもなくて、大勢の中で賑やかにしたいわけでもない。
ずっと話していたいわけでもないけれど、ずっと一人で放っておかれるのも寂しい。って、
なんだかワガママだと思うのですが、私のような人でも、安心して座っていられる場所。
当時の私は、そんな場所を探していたのかも…
あの頃は、自分が今のようなお仕事をするなんて、
思ってもいなかったんですけれどね。
上手に言えないのですが、
スナックって、相性が合いさえすれば、結構居心地が良いと思うんですね。
あの頃の私が、今のちづるを見つけていたら、
一人で扉を開けることができたのかな…
そんなことを、ときどき考えるのですが、
でも、勇気を出して、開けてみてくださいね。😊
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