
第5話|人が集まるほど、苦しくなっていった日々
無料招待の3日間は、お話しした通り目の回るような忙しさでした。
それに加えて、バカ騒ぎをしても許されるようなお店の空気ができてしまい、
勢いも相まって止めることができない状態に。
店を壊されるのではないかと思うほどの酷い状況のままプレオープンを終え、あの時のような雰囲気が続くのだろうかと思うと、本当にやっていけるのだろうか――。
そんな不安な気持ちのまま、営業初日を迎えました。
背中を押してくれたママのお店の常連さんが来てくださいましたが、それは私たちの実力ではありません。
本当に来てほしいのは、まったくの新規のお客様でした。
そんな中、お店の近くにあった居酒屋で飲んでいたお客さんたちが、「新しい店ができた」と噂を聞きつけて来るようになりました。
ただ、その居酒屋は、少し節度に欠ける楽しみ方をされるお客様も多いお店で、そこから次々とお客様が流れてくるようになってしまったのです。
当時は、お惣菜を大皿にいくつも並べて、好きなものを選んでいただくスタイル。さらに、おでんの鍋をカウンターに置き、こちらも自由に取っていただいていました。
料金は、カラオケと簡単な食事込みで2500円以上はいただかないという考え。カラオケの点数がゾロ目になるとビールを1本サービスするなど、利益よりも「お店を続けること」を優先していました。
そうしたこともあり、噂が広がり、お客様がお客様を呼ぶ状態となり、オープンから1年以上は集客について考えることもありませんでした。
それはありがたいことではありましたが、ある時、同業者の方からこう言われました。
「あなたの店、国分で一番悪い店って評判になってるよ」
その言葉をきっかけに、客層をどう良くしていくかを考えるようになりましたが、すでに走り出してしまっていた私たちには、簡単に軌道修正できる状況ではありませんでした。
どうすることもできないまま、流れに身を任せるしかありませんでしたが、
ズルズルと時間だけが過ぎていく毎日。
モヤモヤとした思いだけが、積み重なっていきました。
この続きは、また次回に。
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