第7話|“守ってくれる人”が、お店の空気を変えてしまった夜

第7話|“守ってくれる人”が、お店の空気を変えてしまった夜

 

開店しても、なかなかお店の空気を変えられずにいた頃のことです。

 

ある日、同業の方が

 

「一番いいお客さんを連れて来たよ」

 

と、一人の男性を連れて来てくれました。

 

作業着姿で、目つきの鋭い人。

 

それが最初の印象でした。

 

その日は、同業者への気遣いだったのか、
もともと無口な性格だったのか、

 

ほとんど話すこともなく、
静かに飲んで帰って行きました。

 

ところが数日後、その男性が一人で来店。

 

今度は前回とは別人のようによく喋り、
楽しそうに過ごしていました。

 

それが居心地良かったのでしょうか。

 

それ以来、毎日のように通って来てくれるようになりました。

 

当時の店内には、
カウンターを占拠するような
マナーの良くないお客さんもいて、

 

私たちも対応に悩まされていました。

 

その男性は、
そんな人たちを牽制するように鋭い視線を送り、

 

大きな声で話し、
時には景気よく差し入れをしたりしながら、

 

自分の存在感を強く示していました。

 

今思えば、かなり派手な遊び方だったと思います。

 

けれど、その鋭い視線も、
私たちには不思議と優しく向けられていました。

 

夜の世界で生き残るための考え方や、
お客さんとの距離感。

 

時には、ライバルになるかもしれない他のお店に連れて行ってくれて、

 

「勉強しろよ」

 

と背中を押してくれたこともあります。

 

彼なりに、
私たちを守ろうとしてくれていたのだと思います。

 

ただ、そのやり方はあまりにも強烈でした。

 

マナーの悪いお客さんを遠ざける一方で、

 

普通のお客さんまで、
店に入りづらい空気になってしまったのです。

 

“毒を以て毒を制す”

 

そんな状態だったのかもしれません。

 

実際、問題のあるお客さんは少しずつ減っていきました。

 

けれど、それでも気にせず来る人もいて、
店の空気はさらに張り詰めたものになっていきました。

 

あとになって知ったことですが、

 

「うちで一番いい客を連れて来た」

 

そう言って彼を紹介してくれた店主自身も、
実は彼の扱いに困っていたそうです。

 

そして、半ば“厄介払い”のような形で、
うちを紹介したのだと。

 

夜の世界の厳しさや、
人との距離感の難しさを知った出来事でした。

この続きは、また次回に。
第8話はこちら(リンク)

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