第22話|新しい出会い|スナック千鶴物語

スナック千鶴物語 第22話
霧島市国分「スナック千鶴(現在のちづる)」の実話をもとにした物語です。



第22話|新しい出会い|スナック千鶴物語

神様が遣わせてくれた彼女とのお別れは突然すぎて、
私たちの心にはぽっかり穴が空いてしまいました。

それでも、お店を休むわけにはいきません。

来店されたお客様からは、
「〇〇さん、最近お休みなの?」
と、よく聞かれました。

その度に彼女のことを思い出してしまう私たち。
波は引いたのに、倍の波が戻ってくる。
感情の揺れの激しい毎日。
悲しくてたまらない毎日…

千鶴のために精一杯尽くしてくれた彼女が、
今の私たちを見たらどう思うのだろう。

きっと、
「ママ、元気出して」
「私がビールをたくさんいただくから」
と励ましてくれたかもしれません。

もしかしたら、
「ママ、こんなことしている場合じゃないですよ」
と優しく言ってくれたかもしれません。

そんなことを考える度に寂しさが込み上げてきましたが、
彼女が戻って来てくれた時、
以前と変わらないお店のままではいけませんものね。

彼女のいない間、
お店をしっかり守ること。

それが、お見舞いにも行けない私たちにできることだと、
ママと話し合いました。

そして、
彼女がいつ戻って来ても良いように、
お店の灯りを消さずに営業を続けることにしました。

スナックいうお店の形を残してくれた彼女。
それを育てていくため、再度、求人を出そうと決めました。

前回と同じように、
年齢の幅を広げて、
彼女のような人と出会えることを願いながらの募集でした。

若い女の子を採用するつもりはありませんでしたが、
面接にやって来たその子の明るさと元気さが、
落ち込んでいた私たちの心を惹きつけたのだと思います。

「この子だ」

瞬間的にそう思い、
彼女にお手伝いしてもらうことにしました。

夜の世界はもちろん、
夜のお店を利用した経験すらない子でしたので、
接客スタイルはとにかく元気いっぱい。

私たちが求めていたものとはかなり違いましたが、
一生懸命さと、
お店を思う気持ちの強さが伝わって来る子でした。

前職では、
大手販売店の接客コンクールで優勝経験もあるそうで、
接客には強い自信を持っているようでした。

悪くはないのですが、
夜のお店には少し不向きにも感じました。

それでも、
自分の力でお店に貢献したいという気持ちに、
私たちは心を動かされたのだと思います。

そして何より、
私たちと同じように、
色気を使うような接客を嫌う彼女とは、
どこか通じるものがありました。

年齢は母娘以上に離れていましたが、
チームワークはとても良いものになって行きました。

また、
彼女独特の接客は意外にもお客様に好評で、
その明るさに救われる方も多かったのだと思います。

色気ではなく、
人柄で好かれる。

そんな彼女のファンも、
少しずつ増えて行きました。

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