第10話|守ろうとしてくれた人|スナック千鶴物語

スナック千鶴物語 第10話
霧島市国分「スナック千鶴(現在のちづる)」の実話をもとにした物語です。

第10話|守ろうとしてくれた人|スナック千鶴物語
オープン当初の千鶴は、今とは少し違う空気のお店でした。

まだ「どんな場所にしたいのか」も定まりきっておらず、
来られるお客様の年齢層も雰囲気もさまざま。

当時は、シニアの方がゆっくり過ごせる居場所のようなお店でしたが、
ある日、同業者の方が一人の男性を連れて来られたことで、
少しずつ店の空気が変わっていきました。

その男性は、当時のお客様の中では比較的若く、
存在感のある方でした。

にぎやかな場面も多く、
今思えば、まだ店全体の空気も落ち着いていなかったのだと思います。

オープン当初の千鶴には、
マナーに悩む場面も少なくありませんでした。

そんな中で、その男性は、
決して優しい言葉ばかりの方ではありませんでしたが、
私たちが困るような場面では、
不器用ながらも守ろうとしてくれていたように感じます。

店員をからかって楽しむようなお客様や、
場の空気を乱してしまう方がいると、
彼なりのやり方で空気を変えようとしていました。

時には、
周囲が驚くほど大きな声を出すこともありました。

今の穏やかな千鶴からは、
少し想像しづらい時代かもしれません。

ただ、
彼のおかげで利用が減っていったお客様もいました。

一方で、
彼のことを気にせず自然に過ごされるお客様もいて、
その方たちは決してマナーが悪いわけではありませんでした。

けれど、
ママを独占するような空気になることもあり、
そういう場面では、
彼の視線が鋭くなることもありました。

今振り返ると、
彼は「ママ目当て」というより、
家族のようなつながりや、
安心できる居場所を求めていたのかもしれません。

お店を良くしたい。

自分なりに、
そう考えてくれていたのだと思います。

もちろん、
そのやり方がすべて正しかったとは思いません。

でも、
千鶴が少しずつ
「安心して過ごせる場所」へ変わっていく中で、
あの頃にしかない支え方をしてくれた人だったことは、
今でも覚えています。

たくさんの人との出会いや出来事を重ねながら、
千鶴は少しずつ、
今の穏やかな空気へ変わっていくのですが、
それはまだまだ遠い遠い先のこと。

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