スナック千鶴物語 第11話
霧島市国分「スナック千鶴(現在のちづる)」の実話をもとにした物語です。
第11話|毎日が同窓会のようだった頃|スナック千鶴物語
オープン当初から通ってくださっていたお客様は、
“彼”の存在によって、
少しずつ来店頻度が減っていきました。
正直、
対応に悩む場面も多かったため、
内心ほっとした部分もありました。
けれど、
彼と私たちだけでは、
お店を続けていくことはできません。
そんな不安を感じていた頃、
ふらっと入って来られたのが、
彼と同世代くらいの男性でした。
その方は、
とても陽気で明るく、
細かいことをあまり気にしない、
どこか大らかな性格の人でした。
彼の鋭い視線や、
少し棘のある言葉にも、
終始笑顔で接してくださり、
楽しそうに話をしてくれていました。
そんな姿を見て、
彼も安心したのでしょう。
意気投合というほどではありませんでしたが、
同じ世代ということもあり、
職場の悩みや日々の出来事を話すうちに、
二人は少しずつ打ち解けていきました。
そして、
連日のように通ってくださるようになり、
千鶴は少しずつ、
“家庭の団らん”のような空気になっていきました。
その男性の同僚の方々も、
それまで別のお店で飲まれていたそうですが、
「一度行ってみよう」と誘われて、
少しずつ千鶴へ来てくださるようになりました。
同世代のお客様が増えたことで、
店の空気もまた変わっていきました。
毎日が同窓会。
毎日が家族団らん。
そんな表現がぴったりな夜でした。
みんなでしりとりをしたり、
トランプをしたり。
普通のスナックでは、
あまり見かけないような過ごし方だったと思います。
まるで、
友だちの家に集まった子どものように、
笑って遊びながら過ごす夜が続いていました。
今振り返ると、
新しく来られたお客様には、
「ここって、どういうお店なんだろう?」
そんなふうに映っていたかもしれません。
そのため、
新規のお客様が
何度も通ってくださることは、
当時はそれほど多くありませんでした。
けれど、
私たちが目指していたのは、
“楽しい居場所”をつくること。
だから、
経費さえ何とか賄えていれば、
それで十分。
そんな気持ちで毎日を過ごしていました。
すると、
少しずつではありましたが、
同世代のお客様が増えていき、
千鶴には、
今につながる「人の輪」が生まれ始めていました。
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