第12話|「俺たちの居場所」だった頃|スナック千鶴物語

スナック千鶴物語 第12話
霧島市国分「スナック千鶴(現在のちづる)」の実話をもとにした物語です。

第12話|「俺たちの居場所」だった頃|スナック千鶴物語
毎日がおだやかで、
家族団らんのような時間でした。

オープン当初の慌ただしさを思えば、
あの頃の千鶴は、
まるで別のお店のようだったと思います。

夜のお仕事の経験がなかった私たちは、
失敗ばかり。

グラスの出し方も、
お酒のことも、
会話の距離感も、
何もかも手探りでした。

それでも、
怒鳴るようなお客様は誰もいませんでした。

「こういう時はこうするんだよ」
「鹿児島ではこういう感じかな」

みんな笑いながら、
優しく教えてくれました。

お客様と店員というより、
どこか親戚のような、
兄弟のような空気。

ママを中心に、
自然と“家族”のような関係ができていたのだと思います。

私は、
そんな輪の少し外側で、
新しく来られるお客様の接客をすることが増えていきました。

すると少しずつ、
仕事帰りのサラリーマンの方や、
グループのお客様も増えていきました。

千鶴が、
少しずつ「お店らしく」なっていった時期だったと思います。

でも、
お店がにぎやかになるほど、
最初から通ってくださっていた常連さんたちは、
少し寂しそうにも見えました。

「常連の意地を見せるぞ!」

冗談のように笑いながらも、
新しいお客様を少しけん制するような空気になることもありました。

きっと、
「自分たちだけの居場所」
だった千鶴が、
少しずつ変わっていくことが、
寂しかったのかもしれません。

その頃は、
ママを特別に気にかけてくださるお客様もいて、
私たちも戸惑うことがありました。

今思えば、
みんなそれぞれに、
居場所を求めていたのだと思います。

やがて、
仕事の転勤なども重なり、
毎日のように続いていた“家族団らん”の時間は、
少しずつ変わっていきました。

それでも、
あの頃の千鶴には、
たしかに温かい時間が流れていました。

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