第13話|にぎやかさの中で悩んでいた頃|スナック千鶴物語

スナック千鶴物語 第13話
霧島市国分「スナック千鶴(現在のちづる)」の実話をもとにした物語です。

第13話|にぎやかさの中で悩んでいた頃|スナック千鶴物語
家族団らんのような毎日は、
しばらく続きました。

けれど、
仕事や家庭環境の変化も重なり、
毎日のように通ってくださっていた常連さんたちの姿は、
少しずつ減っていきました。

それでも、
時々ふらっと顔を出してくださることはあり、
「新しい居場所」を見つけながらも、
千鶴を気にかけてくださっていたのだと思います。

代わりに増えていったのは、
地元のサラリーマンの方たちでした。

グループでの利用も増え、
店内は毎晩のようににぎやか。

少しずつ
「お店らしく」なっていった時期でもありました。

ただ、
今振り返ると、
当時の千鶴はまだ、

「どんな空気のお店にしたいのか」

それがはっきり定まりきっていなかったのだと思います。

オープン当初の勢いのような空気も残っていて、
にぎやかさと、悪ふざけの境界線も曖昧でした。

お酒の勢いで距離感が近くなりすぎてしまうお客様も少なくありませんでした。

冗談のつもりなのか、
必要以上に身体に触れてきたり、
特別な関係を求めるような言葉をかけられることもありました。

大人数で盛り上がる場面では、
悪ふざけが行き過ぎてしまうこともあり、
私たちもどう対応するのが正解なのか分からず、
戸惑う夜も少なくありませんでした。

「面白いことをしたらご馳走してやる」

そんな空気の中で、
誰かが無理に盛り上げ、
誰かが無理に笑う。

店内が騒然としてしまう夜もありました。

飲めないにも関わらず、
焼酎サーバーを勝手に触って遊ばれたり、
食べきれないほど料理を注文されたり。

今の穏やかな千鶴からは、
少し想像しづらい時代かもしれません。

オープン当初の無法地帯のような時期を、
やっと抜け出せたと思った矢先。

今度は、
「にぎやかすぎる空気」と、
どう向き合っていくのか。

そんな新しい悩みが始まっていました。

もちろん、
すべてのお客様がそうだったわけではありません。

楽しく飲みながら、
自然にお店を支えてくださる方もたくさんいました。

ただ、
私たち自身がまだ若く、
「どこまでを許し、どこからを止めるのか」

その線引きができていなかったのだと思います。

でも、
あの頃の経験があったからこそ、
今の千鶴は、

「安心して過ごせる空気」

を何より大切にするようになりました。

にぎやかさよりも、
安心感。

派手さよりも、
落ち着いて笑える空気。

少しずつ、
千鶴は今の形へ近づいていったのです。

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