「もっと賑やかなお店にしたらいいのに。」
そう言われることがありました。
商売だけを考えれば、それが正しかったのかもしれません。
若い女性スタッフを増やし、お客様でいっぱいになれば、売上はもっと増えたと思います。
そうしたことに挑戦した時期もありました。
でも、それは私たちが目指している「ちづる」ではありませんでした。
コロナ禍を経て、少しずつ私たちが求めていた「ちづる」に近づくことができたように思っています。
「もっと賑やかなお店にしたらいいのに。」と言ってくださっていたお客様も、
今では、「今くらいがちょうどいいね。」と言ってくださることが増えました。
最近、「サードプレイス」という言葉をよく耳にします。
家でも職場でもない、第三の居場所。
でも、ちづるを続けてきた中で感じているのは、それだけでは少し足りないということです。
一人で静かに過ごせる場所も大切です。
けれど、本当に心が休まるのは、「自分を理解してくれる人がいる。」
そんな安心感ではないでしょうか。
何者かを演じる必要もなく、
大きく見せる必要もなく、
自然体でいられる。
これは私たち自身、心のどこかで求めていた居場所でもあります。
ちづるもそんな場所でありたいと思っています。
若い頃は刺激を求めることもあります。
賑やかな夜。
派手な時間。
そういう楽しさも、もちろん素敵だと思います。
でも、お客様と長くお付き合いをさせていただく中で感じることは、
歳を重ね、責任を背負うようになると、少しずつ求めるものが変わってくるということで、
これは私たち自身も経験してきたことでした。
直接的な刺激よりも、
静かな会話。
笑い過ぎない笑顔。
誰かが自分を気に掛けてくれる安心感。
そうした時間に、少しずつ価値を感じるようになっていくのかもしれません。
そう考えると、ちづるの楽しさは、お笑い番組というより落語に近いのかもしれません。
派手ではありません。
でも、じんわりと心が温かくなる。
帰る頃には、肩の力が少し抜けている。
そんな時間を、私たちは「ちづる時間」と呼んでいます。
金曜日や土曜日、週末は街も賑わいます。
でも、ちづるらしさを一番感じていただけるのは、月曜日から木曜日の平日です。
お客様がお一人の日もあります。
来店がない日もあります。
なので周囲に気兼ねすることなく、自分のペースでお過ごしいただけると思います。
「お店に来てください。」
そう言いたいのではありません。
せっかく来ていただけるのであれば、平日の方がちづるの価値をより感じていただけると思うのです。
大切な人と過ごすように、自然体のままお過ごしいただければ、それで十分です。
静かな時間という贅沢。
少人数だからこそ生まれる贅沢。
それも、私たちが大切にしているおもてなしの一つです。
ちづるは、テレビや雑誌で紹介されるようなお店ではありません。
人が押し寄せることもありませんが、それが良いと思っています。
賑わうことよりも、「こんな場所を探していました。」
そう言ってくださる方に、ゆっくりお過ごしいただきたい。
そう思っています。
若い女性と飲みたい方。
大騒ぎしたい方。
SNS映えする夜を楽しみたい方。
国分にはそういう方に合う素敵なお店がたくさんあります。
私たちが出会いたいのは、
「何者かを演じなくていい場所が欲しかった。」
「自然体でいられる時間を探していた。」
そう感じている方です。
商売ですから、お客様は多い方が良いのかもしれません。
ただ、私たちの経験では、
人数が増え過ぎると、一人ひとりと向き合う時間はどうしても少なくなってしまいます。
その結果、本当にお届けしたいものまで薄れてしまうように感じてきました。
私たちは、お客様を一人の人として大切にしたい。
だからこそ、お客様一人ひとりと向き合える時間と人数を大切にしていきたいと思っています。
そうした思いも、「ちづる時間」という言葉に込めています。
私たちが目指しているのは人生のどこかで、
「ここがあって良かった。」
そう感じていただける場所。
そして、そう感じてくださる方に、長くご利用いただける場所です。
派手ではありません。
効率も良くありません。
それでも、自然体でいられること。
その非効率さえも贅沢だと感じてくださる方へ、
これからも変わらない「ちづる時間」をお届けしていきたいと思っています。
理想なんですけれどね。
そんなことを考えながら、
今日もいつも通り、ちづるの小さな灯りをともしています。
もし、この文章を読んで「少し分かる気がする。」そう思っていただけたなら、
きっとちづる時間も気に入っていただけると思います。
出張や観光で霧島に来られた方で、
静かに過ごせる場所を探している方は、こちらもご覧ください。


